本市の公共下水道事業及び農業集落排水整備事業は、令和2年4月1日より地方公営企業法の適用により公営企業会計を導入しました。
地方公営企業法適用の背景と目的
本市の公共下水道事業及び農業集落排水整備事業を取り巻く環境においては、施設の老朽化、人口減少による料金収入の減少等、厳しさを増しています。そのような環境の中で、将来にわたり安定的に下水道事業を維持継続していくためには、経営状況を正確に把握し、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に取り組むことが求められています。そこで、経営成績や財政状態など自らの経営状況のより的確な把握が可能となるよう、法適用により公営企業会計に移行することが求められてきました。
平成27年1月に、総務省から「公営企業会計の適用の推進に当たっての留意事項について(総財公第19号 平成27年1月27日)」が通知され、下水道事業及び簡易水道事業について平成31年度までに地方公営企業法を適用することが要請されました。本市では、国の要請も踏まえ、将来にわたり安定的に下水道事業(公共下水道、農業集落排水)を継続するために、地方公営企業法を適用することとしました。
基本方針
対象事業
本市は、「公共下水道事業」及び「農業集落排水整備事業」を有しています。これら2つの下水道事業を対象に地方公営企業法を適用し、下水道事業として一体運用します。
対象範囲
経営効率の最大化を図るため、水道事業との一体的な運用を推進することとし、「全部適用(管理者非設置)」を採用しました。
地方公営企業法適用により期待される効果
会計情報の明確化
企業会計方式に移行したことにより、官庁会計では見えづらかった経営状況や財政状況の把握・分析がしやすくなります。
使用料の適正化
企業会計方式では、官庁会計では認識していない減価償却費を含めた総括原価を算定するため、事業年度ごとに発生する費用とその対価である使用料収益のバランスが適正であるのかを、把握・公表することができます。
経営の自由度向上による経営の効率化とサービス向上
業務量の増加に伴い収益が増加する場合には、予算超過の支出が認められたり、財産の取得、管理及び処分について条例又は議会の議決を要しないなど、経営の自由度が増すことにより、住民ニーズへの迅速な対応や弾力的な資産の活用が可能となり、経営の効率化とサービスの向上が期待できます。
住民や議会によるガバナンスの向上
ストック情報を含む財務状況の情報開示が行われるとともに、期間損益計算が適正に行われるなど、下水道事業の経営情報を住民や議会が確認しやすくなります。また、決算も早期化するなど、住民や議会のガバナンスの向上が期待できます。
企業会計に精通し経営マインドを持った人材の育成
発生主義など企業会計的な財務処理の知識やノウハウを持った有為な人材が地方公共団体全体で育成されることが期待されます。また、減価償却費を含めたコストとそれに対する収益や、資産と負債の最適化を意識することにより、最小の経費で最大の効果の発揮を図る、経営マインドを持った人材の育成が期待されます。