いぃ那珂暮らしの人々vol.08 蓮見 真一さん

いぃ那珂暮らしの人々 vol.25

農業体験ツアーに参加して移住を決断

農業体験ツアーに参加して移住を決断。

上菅谷駅の市街地から北へ車で10分ほど走れば、そこはのどかな田園風景。ずっと昔からあったであろう林がいくつも続く中に見えてきたのは、大きなハウス栽培の施設群。ここはトマト栽培で有名な株式会社綿引農園。兵藤さんの職場です。兵藤さんは那珂市地域おこし協力隊の第3期生、新規就農プロジェクトを担当し2022年4月からこの地で活動を始めました。地域おこし協力隊とは、都市部から地方へ移住し地域の活性化を支援する人材のこと。東京で暮らしていた兵藤さんがなぜ那珂市にやってきたのか伺いました。


 「立川市で5年ほど暮らしていました。忙しい毎日で、次第に都会での仕事と生活に息苦しさを感じるようになって。結婚をしようというタイミングでしたので、これからのことを考えて住みやすい地方暮らしをしようと」。そうして有楽町にある移住相談センターで那珂市を紹介され、移住フェアに参加します。「市の担当の方に私が農業に興味があると伝えると、農業体験ツアーを勧められました。そこで体験に訪れたのが、ここ綿引農園なんです。農業体験ツアーでは綿引さん一家をはじめ那珂市の農家さんが親身になっていろいろ農業についてアドバイスをくださいました。みなさんとても優しく、ココならちゃんと面倒を見てくれそうだなと。環境もよく住みやすそうだったので、那珂市に移住することを決めました」

独立就農 那珂市の農産物のこれから

独立就農を目指すだけじゃない。

那珂市の農産物のこれからを考えていきたい。

新規就農プロジェクトは、独立して就農するために市内の農家さんのもとで野菜の栽培技術や農業経営に関する研修を受けるというもの。農業の経験がなかったという兵藤さん、活動を始めてみていかがですか?
 「最初は体力がついていかなくて(笑)。畑で苗を植えたり、田んぼで草取りする作業は、立ってはしゃがむの繰り返しで当初は筋肉痛に。でも次第に慣れていきましたね。以前の仕事と比べたら、精神面でとても健康的になったと思います。こうしてハウスにいるとトマトたちが可愛く見えてくるんですよ。自然を相手にしていると心も穏やかになるんでしょうか」


 ほかにも、兵藤さんは農家さんたちが主催するイベント運営のサポートや、自身が就農に向けて活動している様子をSNSで発信し、新たな就農希望者を呼び込む活動も始めています。

「いろんな農家さんと関わっていく中で気づいたのは、那珂市には豊富な種類の素晴らしい野菜がたくさんあって、それだけ農家さんたちが頑張ってつくっている。名産と言われるものが表立っていませんが、水戸駅などでフェアを開くとどれも本当によく売れるんですよ。那珂市は農業に強いしポテンシャルはあると思うので、そこは市と生産者のみなさんとで今後、那珂市の農産物のブランディングを考えていきたいです。加えてこれから農業をやってみようという人に、いま私が歩んでいるような就農への道筋をもっとわかりやすく紹介して、こっちに飛び込んで来やすいような情報発信もしていきたいと考えています」

自分が理想の農家のモデルになる

自分が理想の農家のモデルになる。

独立就農を目指しながらも、那珂市の農産物、農業のこれからを考える兵藤さん。今取り組んでいる野菜の栽培技術の習得だけでなく、今後ブランディングに向けて食育などの勉強も始めたそうです。「私みたいに未経験でも外からの視点をもった、那珂市にはいないタイプの人間が関わることで活性化が図れ、那珂市の農産物のブランドの醸成に貢献できるんじゃないかと。だからもっと多くの人に来てもらって、それぞれのアイディアを取り入れながら、これからの那珂市の農業を一緒に盛り上げていけるといいですね」


 そのためには自身が新規就農するモデルとなって、農業という生き方がしっかりできることを証明する必要があると言います。「農業ってきついとか、きたないとか“K”のつく職業と言われますが、それは個人の受け止めによって違う。確かに今の日本では高収入を得ている農家さんはごくわずかで、ほとんどが兼業をしている。別に僕らはお金持ちになりたいわけではなく、家族が健やかに暮らしていけるくらいちゃんと稼げることを体現していきたい。売り上げがあるけど忙しすぎるのではなくて。無理のない業務でしっかり休めて、夫婦で趣味の時間を過ごしたり暮らしを愉しむ。それができるように、既存の農業のやり方なども効率を突き詰めていきたいと考えています」

 

農業未経験で那珂市に飛び込んできた兵藤さん。いまは日々トマトを育てる作業が楽しいのだそうです。あらためて、農業っていかがですか?

 

「とても人間らしいことをしていると感じています。土に触れていると、あぁ地球が職場なんだなと。田んぼで作業をしているときも、ふと見上げると本当にいい景色が広がっていて、いまだに見とれていますよ。身体いっぱいに感じるその良さはインスタじゃ絶対に伝わらないと思います。この大地に立ってみないと」

兵藤さんご夫妻

那珂市地域おこし協力隊

新規就農プロジェクト担当

兵藤 一輝

 

https://www.instagram.com/hyodo_farmer/