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いぃ那珂暮らしの人々 vol.21

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野菜の本当の美味しさを感じる地へ。

 

 以前はご主人の勇樹さんの出身地、浜松で暮らしていたという疋田さんご一家。2021年の春、那珂市にやってきて新たな暮らしを始めました。奥様の恵美さんがこの地の出身で、恵美さんにとってはUターン移住、勇樹さんはIターン移住ということになります。勇樹さんが住み慣れた街と職場を離れ、ここ那珂市で暮らすことを決めた理由とは何だったのでしょう?

 

「やはり子どもを育てる環境を考えたら、もっと自然が豊かなところがいいなと」。そう感じている時に思い浮かんだのは、奥様の実家を訪れた時のことだそうです。畑をしているお祖母さんから食べさせてもらった野菜に衝撃を受けたと言います。

 

「ブロッコリーってふつう、茎の下の方まで食べないですよね。でもその茎がとっても甘かったんです。採れたての野菜がどれも本当に美味しかったのがとても印象的で。のどかな環境で、旬の野菜の美味しさを感じる。土を踏む場がちゃんとあって、自然を身近に感じられる。そんな田舎の暮らしがいいなと、二人で話し合い那珂市に移住することにしました」

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自然の音が聞こえる心地いい暮らし。

 

恵美さんは生まれ育ったこの那珂市に帰ってくることに、どんな想いでいたのでしょう?

 

「住んでいた頃は正直ここには何もないなと思っていましたが、里帰り出産をした時、上の子が畑で土いじりをしたり、井戸水で遊んだりイキイキしているのを見て、ここはいいところなんだなと気づいて。私がのびのび育ったこの地での体験を、子どもたちにもさせたいと思いました」。そう話しながら、恵美さんは庭で走り回るお子さんたちを見つめます。

 

その庭は都会では家一軒が建つほどの広さ。真ん中に畑があり、お子さんの大好物のプチトマトやモロヘイヤ、ネギにサヤエンドウ、唐辛子やハーブも育っています。そのまわりを自転車で走ったり、サッカーのシュート練習をしたり、泥だんごを作ったり、お子さんたちの自由なフィールドが広がっています。「確かに、この広さは都会では難しいでしょう」と勇樹さんは言います。「広い庭のある家がリーズナブルに購入できるのは、やはり田舎の魅力です。これは後から知ったのですが、那珂市では子育て世帯の住宅取得に助成金が出ます。こうした環境を求める人には嬉しいポイントだと思います」

 

「それに」と恵美さんが続けます。「以前住んでいた地域は大通り沿いで交通量が多く、車の音がうるさくて。子どもを寝かしつける時は窓を閉めてエアコンをつけないといけなかったんです。それが今、窓から聞こえてくるのはカエルやコオロギ、鳥の鳴き声。自然の音を感じながら暮らすのは、とても心地いいものです」

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自然だけではない。

子どもに感じさせたいのは、人とのつながり。

 

お二人にインタビューをしている時、庭で誰かがお子さん達に話しかけています。どなたでしょう?

 

「お隣の方ですよ。ああやって、この辺りの人たちは子どもを気にかけて、いろいろ相手をしてくれるんです」そう語る勇樹さんは、午前中そのお隣さんに誘われて地域のチームでソフトボールをしてきたとか。「子育てって親だけでなく、地域の人たちの手も大きく関わっていいものだと思っているんです。理想は昔の昭和のような。みんなお互い顔を知っていれば、よそのおじさんに怒られるのもいいことだと思います。他の場所だったらいろいろクレームに繋がったりするから、よその子を怒ることはしなくなり無関心になっていくんでしょうけど」

 

恵美さんが頷いています。「主人も私も今っぽい考えではないかもしれません。ちょっと古風なのかなと思いますが、まわりのいろんな世代の方々と関わっていくことで、子どもたちがいろいろ感じたり、吸収してくれたらいいなと思います」

 

とかく人と人のつながりが薄くなりがちな現代の社会。こうした今の時代に、勇樹さんは地域の輪が大切だと語ります。「やっぱり人は人どうし支え合っていくもの、それが自然だと思うんです。家族だけの力ではできないこともありますし、まわりで誰かが困っていたらみんなで助け合う。そんな当たり前のつながりを大切にしていきたいと思っています。この地でそうした人とのつながりを築いて、子ども達に感じてもらえたらいいですね」

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