いぃ那珂暮らしの人々 vol.19_01

いぃ那珂暮らしの人々 vol.19

いぃ那珂暮らしの人々 vol.19_02

都会暮らしを卒業し、ほどよい田舎暮らしへ。

この2020年で働き方はずいぶん変わりました。テレワークが推進され在宅勤務する人も多くなり、企業も東京一極集中を避け地方に拠点を構える動きも出てきています。それが今の世の中の流れですが、前橋さんはそれよりも前に、東京での暮らしから脱し、ほどよい田舎暮らしができる那珂市へ移住。都内の勤め先を変えることなくテレワークで在宅勤務する生活にシフトしました。そこにはどのような想いがあったのでしょう?「働きかたというより、暮らしかたを変えたかったですね。世田谷区近辺で20年以上マンション住まいをしてまして、もうそろそろ自然豊かな環境でのんびり暮らしてみたいなと」

聞けば前橋さんが長く暮らしていたのは京王線の明大前で、新宿にも渋谷にも電車で7分ほどで行ける好アクセスで人気の街。会社へ行くにも、買い物や遊びに行くにも便利な生活。でも、そんな都会暮らしはもう充分堪能したと言います。

「それに、その頃は帰宅も遅く、平日の家はただ“寝る場所”でしたから。週末は楽しめるけど、平日は仕事とその延長の時間で、自分たちの暮らしを楽しめていなかったんですね」

そうして前橋さんは移住を考え、奥さまの実家がひたちなか市にあり土地勘もあることから茨城県を候補地とし、県の移住セミナーに参加します。そこでいくつかの市町村の紹介を聞く中で、どうして那珂市を選ばれたのでしょう?

「つくばや守谷も一瞬考えましたが、そこだと都内まで普通に通えてしまいますよね。閑静な地を求めて駅から遠くなれば、通うのはさらに大変になるでしょうし。かといって新興住宅地のような家と家の間隔が狭いところにわざわざ移住したくなかったですから、そこは選択肢から外しました。那珂市はひたちなか市の隣で、特急が通る水戸駅にも近いことを知って。周辺の不動産を探したところ、価格も手頃で庭の広い戸建を見つけました。まわりに畑や林があるのどかな環境だったのが気に入りましたね」

いぃ那珂暮らしの人々 vol.19_03

趣味を存分に楽しむ。毎日を健康的に過ごす。

実は前橋さん、以前からサーフィンが趣味。よく週末に湘南や房総の海に出かけていたそうです。「都内にいた頃は往復で4時間はかかりましたよ。それがここなら大洗の海まで30分程度で行けます。時間も、ガス代や高速代もそれほどかけることなく、思い立った時に好きなサーフィンを楽しめるのがいいですね」 休日、ご主人はサーフィン三昧。奥さまは庭でお茶を楽しめるような暮らしがしたいと、いま庭づくりに夢中だとか。前橋さんは他にも水戸ホーリーホックの応援観戦や、ブラックバス釣りに挑戦する(釣果は未だゼロだそうです)など、新たな楽しさも見つけています。では、平日はどんな生活になったのでしょう?

「早寝早起きして健康的になりましたね。朝は5時に起きて、犬と散歩。ゆったり朝食をとってから、2階の自室へ通勤し、東京のオフィスとリモートワークしています。テレワークだとダラダラ仕事を続けてしまいがちですが、そこはちゃんと時間を区切ってメリハリをつけています。夜は21時半にはもうお休みですよ」

これまでは仕事帰りにお酒を飲んでラーメンでシメることが多かった前橋さん。そんな誘惑もここでは少なく、遅い時間に食事をとることも、もうありません。毎食、地域の美味しい野菜をたくさん使った奥さまの手料理を食べるようになったせいか、痩せたそうです。

家族とまわりの人たちの温かさに包まれて。

移住して喜んでいるのは2人だけではありません。3匹の愛犬もです。都内のマンションで暮らしていた時は小型犬しか飼えず、当時はまだ2匹だったそうです。「これは犬を飼い始めてから知ったことですが、世の中には飼い主から見捨てられた犬が実に多いことを知って。それで里親になろうにも、そのマンションでは大型犬を飼えなかったんですね」。そうしてもどかしさを抱えながらも、犬たちを想う気持ちを愛護団体への寄付や支援物資として届けていましたが、移住をすることによって大型犬を引き取って飼うことができました。今では広々とした戸建で、周辺にも迷惑をかけないのどかな環境。犬たちとの賑やかな暮らしを楽しんでいます。

ワンちゃんの話をしていて、前橋さんは何か思い出したようです。「先日、犬の散歩をしていたら、向こうの畑のおばあちゃんがナスを収穫していて。そうしたら『ナス持ってく?』と声かけられて。売り物じゃないから、とたくさんいただきました。あと近所の方から新米や栗をいただいたり。そういうことはよくありますね。本当にありがたいことです」

まわりの人たちのやさしさにも恵まれた前橋さん。これからは、地域の人たちと一緒に取り組める仕事をしてみたいそうです。「現在はテレワークで都内の企業に勤めていますが、何か地域に関われることをしてみたいです。仕事を通じて地域との縁も広がることで、もっと楽しい生活になるんじゃないかと。いまそんなことを考えています」

いぃ那珂暮らしの人々 vol.19_05