「Carrot's」内観

いぃ那珂暮らしの人々 vol.14

那珂市の野菜の美味しさを広め、地域を活性化していきたい。

地域の人々と、ともに作り、歩んできた経験。

那珂市役所のすぐそばに、地元の人々に30年以上にわたって愛されているレストランがあります。ここ「Carrot' s」は、篠原さんのご両親が「ちょっとした記念日に使いたいお店」をコンセプトに、常陸牛にこだわった肉料理と新鮮な地元野菜のサラダバーを提供しています。
 この地で生まれ、ご両親のおもてなしをする姿を見て育った篠原さんも、いずれは店を継ぐためにフレンチレストランでサービスの修行をし、ソムリエの資格を取得。その後、福岡でブライダルの式場の支配人として、運営や企画開発に携わっていたそうです。
 「チェーン展開でどこに行っても同じものを提供するやり方は、つまらないと思っていましたから。料理なら尚更のこと、その土地にしかないものを楽しんでもらえるようにしたい。福岡時代はそうして地域を見渡していく中で、ブーケをキャンドルに入れる作り手の方に出会い、一緒に式場の引出物の商品開発をしたりしていました。地域の中に光るものを見つけ、地域の人たちと一緒に楽しみながら作り、その結果を地域に還元できるようにする。その時の経験をこの店で活かしていきたいと思っています」
 篠原さんはお子さんが小学校へ上がるタイミングで、福岡から那珂市へUターン移住。料理をするお父様を支え、店をさらに盛り立てていく生活が始まりました。

生産者の想いが、直に響いた。

生産者の想いが、直に響いた。

那珂市へ戻ってきた篠原さんは、地域農業の活性化を目指すアグリビジネス組織「フェルミエ那珂」の存在を知ります。早速、農政課に相談したところ、会長の綿引さんと副会長の会沢さんを紹介され、レタスやカブ、トマトなどサラダバーで提供する理想の野菜を仕入れることができたそうです。フェルミエ那珂の野菜を選ぶ決め手になった理由は何だったのでしょうか。
 「純粋に美味しかった。生産者から直で届くので鮮度も違います。一般的に店で売られているものが全て朝どれとは限りませんから。それに、よく話し合えてオーダーにも応えてくれます。例えばサラダバーではトマトをトングで掴みますが、皮が柔らかすぎると潰れてしまうので、ちょうどよい硬さとちょうどよいサイズをお願いして作ってもらえる。お二人とも楽しみながら野菜を作っているところも素敵だなと。どんな人が、どんな風に育てているのかがわかっていると安心できます」

いろんな人の力を融合させて、 地域の活性化につなげていきたい。

いろんな人の力を融合させて、
地域の活性化につなげていきたい。

福岡から故郷に戻ってきてまだ間もない篠原さん。今後、チャレンジしていきたいことはいっぱいあるといいます。
 「まずは店で扱う食材のほとんどを那珂市産にしていくこと。まだお会いしていない生産者の方がたくさんいるので、一つひとつの畑を訪ねてみたいです。僕らのような地域の個人の店がまず地域の野菜を使っていかないと。みんなで盛り上げて、この那珂市には美味しい野菜があること、素晴らしい生産者の方がいることを、もっと多くの人に知ってもらいたい。那珂市の野菜が“鎌倉野菜” のようなブランドとして広まっていったらいいですね」
 フレンチレストランでの修行時代から養ってきた食材を見る目。ソムリエとして鍛えられた味覚。その感性に響く綿引さんや会沢さんのような野菜が那珂市にあることがわかった。しかし、そうした素 晴らしい野菜があまり知られていないことに篠原さんはもったいないと語ります。
 「もっと発信していくべきだと思います。地道に飲食店から伝えていくことはもちろん、市外や東京からでもいい、何か別の力と合わせてイベントなどでプロモーションしていくとか。私と同じ世代や若い事業主たちと、作り手、行政が一緒になって考えていけたらと思っています」
 最後に、篠原さんはこう付け加えました。
「おそらく、ここには一生住むでしょうから。自分の街をなんとかしたいんですよ」

いぃ那珂くらし篠原さん5

Carrot's
常陸牛専門店 ハンバーグ・ステーキ&サラダバー


茨城県那珂市菅谷168-12
TEL.029-295-4129
http://www.e-carrots.com

lunch 11:30 ~ 15:00(14:00 LO) / dinner 17:00 ~ 21:30(20:30 LO)
毎週火曜・毎月第3水曜 定休